最近は照明も他の機器との同期の必要性が多くなってきました。
特に展示会やテーマパークなどでは、必ずと言ってよいほど映像や音と連動させて動かします。
ここでは他の機器との連動について勉強していきましょう。

さて、映像(音)と照明を合わせてやるにはどうすればよいでしょうか。
1回だけのイベントなら人を付けてもよいでしょう。
しかし毎日、同じことを何回も正確に繰り返すのは困難です。
こういうことはコンピュータの得意分野です。
では、どんな方法があるでしょうか。

外部トリガ(GOボタン)による実行

連動で一番簡単なのはGoボタンによる方法でしょう。
卓によって多少の違いがありますが、シーンを作っておいて、それを順番に並べていってシーケンス(キュー)を作ります。
各シーンにはフェードタイムを設定しておき、GOボタンによって順番に実行していきます。
GOボタンは大抵は、外部からリモートができるようになっています。
機種によって違いますが、接点によるもの、電圧を掛けてやるもの、他にDMXやMIDI信号でGOできるものもあります。
この方法は外部からキッカケごとに信号をもらう必要があります。

長所
接点などの信号で簡単に実現できる。

短所
キッカケごとに信号が必要なため、その信号を出す機器が必要。
何かの原因(ノイズなど)で信号が飛んだり余計に来たりすると、その後ずっとズレてしまう。
繰り返す場合、頭(シーケンスの1へ)に戻す方法が必要。

内部クロックによる(タイム)実行

内部クロック実行は各シーンごとに実行時間を卓側で設定します。
このため実行は、スタート信号だけもらってその後は、卓の内部時計で実行していきます。

長所
スタート信号だけもらえばよい(機種にもよりますが新たにスタート信号が来ると頭から再スタートする)。

短所
最初のスタートだけ同時ですが、あとは各機器がそれぞれに動くので時間が長いと、ズレることがある。
ただし最近の映像、音響機器(LD、CDなど)はデジタルになって、長期にわたって使用しても伸びたりしないのであまり心配ありませんが。

タイムコード実行

タイムコードと呼ばれる信号を録音し、それに合わせて時間ごとのシーンを実行します。
映像などの音声を記録するところへタイムコードを録音します(高い機種では、音声2ch以外にタイムコード用の録音する部分を持ったものもあります)。その信号を読みとって、その時間に合ったシーンを実行していきます。この方法だとテープなどの信号源がどこからスタートしても、常にその場所のシーンが実行されます。つまり途中で止めたり、早送り、巻き戻ししても、どこからでも卓はそこから実行されるため、ほぼ完璧な同期が可能です。

タイムコードとはどんな信号か

タイムコードにはSMPTE(シンプティーと読まれています)とMIDIタイムコードと呼ばれるものがあります。
SMPTEの方が使われることが多いので、ここではそちらの説明をしましょう。
SMPTEは元々映像(VTR)の同期に使われていました。これはTVの1つの映像ごとに何時何分何秒何フレームかが記録されています。
フレームとは1枚の映像のことで、アメリカや日本では、NTSCという放送方法から1秒間に30コマ、ヨーロッパではPAL/SECAMという方法で1秒間に25コマとなっています。
つまり、1/30秒ごとに音や映像に番地が振ってあるということです。この番地(時間)を読みとって実行します。

<ちょっと難しくなります>
日本ではSMPTEは30フレームと呼ばれていますが、実は2種類あって30フレームDF(ドロップフレーム)30フレームND(ノンドロップ)というものがあります。
放送では30フレームと行っても正確には1秒間29.97フレームなのです。
1時間では29.97×3600秒=107892フレーム
30フレームでは30×3600秒=108000となり
1時間で108フレーム(3.6秒)ずれてしまいます。
これを補正するため0、10、20、30、40、50分をのぞく毎分最初の2フレームを飛ばします(たとえば0時0分59秒29フレームの次は、01と02を飛ばして0時1分0秒03フレームになる)。
これをドロップ・フレーム・モードといいます。そして、この補正を行わないものをノン・ドロップ・フレーム・モードというのです。


長所
テープが伸びて長さが変わったりスピードが変化したりしても、タイムコードが読み取れればズレることがない。

短所
タイムコードを記録する音声トラックが必要なため、音声2chしか無いものは音がモノラルになってしまう。
またソフト製作の段階でタイムコードを記録する必要があるため、既成のソフト(市販のLD、CD)がそのままでは使えない。


以上の方法の他にMIDIによるシーンやシーケンス呼び出しがあります。
それについては、次回MIDIについての中でお話ししましょう。

参考資料 FOSTEX SMPTEタイムコードのコードフォーマット


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