久しぶりの更新です。今回はMIDIについて。特に照明と関係ある部分を中心に書いてみましょう。
MIDIMusical Instrument Dagital Interface の略で、早い話が音楽の演奏情報を数値化してデジタルで伝える規格です。

MIDIのできるまで

電子楽器ができた頃は楽器それぞれが独立したものでした。その後アナログシンセサイザが出て来ていろいろな音を出すために1つの鍵盤で別の音源を鳴らしたり、またコンピュータの登場でシーケンサと呼ばれる自動演奏装置(その前にアナログシーケンサなんてボリュームがいっぱい並んだものもありましたが)ができ、音源を外部コントロールする必要ができてきました。
アナログシンセの頃は照明と同じように1つの音を出すのにアナログ信号線が1本必要でした。8個の音を出すには8本+コモン1本の線が必要です。その後、デジタルシンセが出てきてたくさんの音を同時に出せるようになりました。そこで各メーカーは独自にデジタル規格を作りました。当時日本で一番熱心だったのはローランドだったように思います。ところがこれでは他のメーカーの音源は鳴らせません。そこで内外のメーカーが集まって世界統一規格であるMIDI規格を作りました(1980年代中頃だったと思います)。なんだか照明のDMXができるまでと似てますね。

CD、MDなんかのデジタルとはどこが違う

CDなどのデジタルは音そのものを数値化(デジタル)してそのまま記録しています。元の音と同じものが再現されます。
MIDIでは音そのものではなく演奏情報を数値化して送ります。つまり、どの音程の音をどのくらいの音量で出しているかとかです。たとえばキーボードでは、どの鍵盤をどれくらいの強さで押したかのデータを送ります。レの音を50%の音量で出しなさいというような命令を送ります。受ける方では自分の持っている音源でレの音を50%で鳴らします。つまり音色は受ける側の音源で決まります。

実際には音程と音量だけでなくアフタータッチ(鍵盤を押してその後そのまま強く鍵盤を押すとビブラートなどをかけられる)ほか、いろいろなデータが送られます。そのほか音色を切り替えるプログラムチェンジ、ペダルのON/OFFやボリュームなどの演奏中に操作する機能を送るコントロールチェンジなどいろいろな規格が用意されており、また必要に応じて増えていっています。

照明への応用

1.調光信号をそのままMIDIに置き換える方法

MIDIの音程情報(ノートナンバーといいます)が調光チャンネル(注1)で鍵盤を押した強さ(ベロシティーといいます)が調光レベルです。鍵盤一個一個が照明のチャンネルフェーダに対応しているようなものです。
MIDIでは1チャンネルあたり127個の鍵盤で127段階の強さが送れます。ということは127CHのディマーに127段階の調光レベルを送ることができます。 MIDIでは1本のケーブルに16チャンネル(注1参照)がありますから最大で127×16で2032CH分の調光データを送ることができます。(実際には遅くて無理ですが・・・ 詳しくは後述)
注1)MIDIにもチャンネルという言葉がありますがこれは照明でいうチャンネルとちょっと違います。
MIDIは元々、楽器用ですからAの音源用のデータがすべてチャンネル1で送られBの音源用のデータがチャンネル2という風になっています。全部で16チャンネルあって16種類の音源に別々のデータを送ることができます。1チャンネルで127種類のノートナンバーが送れます。もちろん16チャンネル分を1本のケーブルで送ることができます。
これはテレビのチャンネルと似ているかもしれません。1つのアンテナ線でいろいろな番組が送られてきてTVチャンネルでどれを見るか選びます。それぞれの音源は自分のチャンネルのデータだけ受け付けます。

2.卓の呼び出しに利用

これは各メーカー独自に決めているのでメーカー間の互換性はありません。
これは調光卓の外部リモートです。シーンを作ったりするのは調光卓で行い、その卓を色々な方法でリモート実行します。
たとえば、どのように使うかというとプログラムチェンジ(楽器では音色の切り替えに使う)という信号を使って照明のシーンを切り替えるもの、コントロールチェンジを使ってシーンマスターフェーダやGOボタンを操作するものなどメーカー、機器によっていろいろです。

上記1、2いずれも音楽用のシーケンサなどに記録できるため、音と同期させて動かすことも可能です。

上の2つはどちらも楽器用のMIDIデータを照明用に使った物です。


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